高熱が続いたら、中耳炎を疑いましょう。
中耳炎とは?「中耳炎」とは耳の奥にいる細菌が耳管を通って中耳に感染すると起こります。
子供は耳管が短く、傾斜もなだらかなため、細菌が中耳に到達しやすくなっています。
そのために「中耳炎」は5,6歳までの子供に多いのです。
急性中耳炎
3歳以下のお子さんの70~80%は一度はかかります。カゼの炎症の後に発症する中耳の炎症で、耳痛・耳だれ・難聴・耳のつまり感などの耳の症状の他に、発熱や食欲不振などの全身症状や、幼少児では不機嫌になったり耳を頻繁にさわる等の症状がみられます。滲出性中耳炎
鼓膜の奥(中耳腔)に滲出液がたまり、音が聞こえにくくなる中耳炎です。症状としては、主に難聴・耳つまり感・耳鳴りです。お風呂やプールの水が耳に入ってたまっていると思われている方がいますが、そうではありません。鼓膜の内側は、耳管という管で鼻の奥とつながっており、その管をとおして、換気をしています。子供や高齢者の方は、元々その働きが弱いのですが、風邪などの炎症で狭くなったりすると、うまく換気ができなくなり、鼓膜がへこみ、鼓膜の奥(中耳腔)に滲出液が溜まります。飛行機に乗ったことで発症したり(気圧差が原因)、まれに鼻の奥に腫瘍ができたりして中耳炎となるケースもあります。
慢性中耳炎
急性中耳炎の不完全な治療、耳管(耳と鼻をつなぐ管)の機能不全、副鼻腔炎(ちくのう症)や扁桃炎の存在、口蓋裂など様々です。慢性中耳炎は放置するとめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎(脳膜炎)、脳膿瘍(のうのうよう:脳にうみの袋ができる)を合併したり、また真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん:耳の奥に白い塊ができ、骨を破壊しながら増殖していく困った中耳炎、手術が必要)など怖い病気になる場合があります。急性中耳炎
通常、完全に治るまでには2~3週間程度はかかりますので、最低2~3週間の診察、お薬が必要です。(お子様は冬はもっと治療期間が長引く場合もあります。)痛みがなくなったとしても、多くの場合中耳炎は完治していません。中途半端な治療では鼓膜の内側にうみが残って難聴(滲出性中耳炎)になったり、慢性中耳炎になることがあります。医者の診断に従い、勝手に治療を中断させることの無いようにしてください。滲出性中耳炎
- お薬の内服や吸入(ネブライザー)による鼻とのどの治療を行います。アレルギーを抑えるお薬と少量のマクロライド系と呼ばれる抗生物質を長期間飲んでいただくこともあります。
- 耳と鼻を結ぶ管(耳管)から空気を送ることによってたまった滲出液の排出を促します。
- 鼓膜切開、鼓膜に小さな穴をあけて中耳にたまった滲出を取り除きます。鼓膜は再生力が強いので、繰り返し行っても心配ありません。そのままではとても痛いので、鼓膜に麻酔液をつけてから行います。
- チューブ挿入鼓膜の切開を繰り返し行っても治りが悪いときには、切開後に小さなチューブを挿入し、液の排出を促します。
滲出性中耳炎は慢性疾患ですので短期間の治療では不十分です。完全に滲出物が消失して聴力が回復するまで定期的に通院が必要です。また、まじめに通院していても、なかなか治らない方もいらっしゃいます。なかなか治らないから・・・と通院をやめてしまうとさらに悪化するケースがあります。あきらめずに根気よく通院することが大切です。
慢性中耳炎
治療は抗生物質の内服、お薬を耳の中にしみ込ませる点耳療法、耳の洗浄などを行ないます。
しかし、こうした治療を行ってもなかなか耳だれがとまらない場合や、鼓膜の穴が大きくなって、音を内耳へ伝える中耳の小さな骨の連鎖にも異常が起きて、聞こえにくくなった時には、炎症を起こしている病巣を取り去り、鼓膜を再生する「鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)」と呼ばれる手術が必要になります。